【札幌市の屋根専門業者】株式会社マツモトルーフ代表の松本です。筆者のプロフィール・会社概要はこちらをご覧ください。
屋根に上がってスノーダクトを掃除する。時期が来たら塗装やコーキングを手入れする。これまで続けてきた屋根の管理も、年齢とともに負担に感じることがあります。
今回は札幌市手稲区K様邸で、スノーダクトを埋め、排水口だけを残したシンプルな防水層をつくる工事を行いました。まずは、工事前と完成後の違いをご覧ください。


溝のある板金屋根から、排水口だけを残したシート防水の屋根へ。見た目の変化だけでなく、今後の清掃や補修の負担を極力減らすことを考えて施工しました。この記事では、2025年10月に行った2階屋根の工事をご紹介します。
屋根の清掃・手入れを、これからも続けられるか
K様からは、年齢的に垂直のハシゴを上がることが難しくなり、スノーダクトの清掃やメンテナンスを極力減らしたい、というご相談をいただきました。
気にされていたのはダクトの清掃だけではありません。板金屋根のコーキングや塗装といった定期的な手入れに加え、屋根の傾斜が緩く、水溜まりができやすいことから、冬のすがもりも心配されていました。

こちらは工事前のダクトまわりです。板金とダクトが接する部分にコーキングが使われています。屋根面だけでなく、こうした取り合い部分も維持管理の対象になります。

屋根面には水が溜まった跡が見られました。今回は表面の塗り替えや部分補修を繰り返す方法に加えて、水の通り道と防水の仕方そのものを見直す工事を選びました。
溝を埋めて、水の流れと防水をシンプルに
工事の考え方は、スノーダクトの溝を埋め、木下地と勾配断熱材で排水の流れを調整することです。勾配とは水を流すための傾斜で、勾配断熱材はその傾斜を付けた断熱材です。
その上を塩ビ防水シートで覆い、屋根面・外周・排水口をつなぐ防水層を形成します。溝状のダクトを残す形から、排水口のみを残したシンプルな屋根面へ変えることで、清掃や補修の負担を抑えます。
排水口そのものをなくす工事ではありません。雨水を集めて流す出口は残し、その周囲まで防水を納めます。
解説動画|工事前から完成まで
ご相談の背景から、ダクトを埋める下地づくり、シート防水、施工前後の変化までを約3分でまとめました。写真のどこを施工しているのか、ナレーションと一緒にご覧いただけます。
工事の流れ|見えなくなる下地から施工します
外周の板金を取り外し、端部を整える

まずは屋根外周の板金を取り外し、下地を調整します。新しく施工する防水層を屋根の端まで納めるため、仕上がりに関わる外周部分から整えていきます。

外周には、新しいガルバリウム鋼板の部材を取り付けました。既存の端部をそのまま上から覆うだけでなく、板金部分を整えてから防水工事へ進めています。
断熱材を敷き、スノーダクトを合板で塞ぐ

既存の板金屋根の上に断熱材を敷き込みます。屋根面に断熱材を追加し、その上に新しい防水層をつくるための下地を整えます。

スノーダクトの溝は、合板を二重に張って塞ぎました。ここで深い溝の形をなくし、防水シートを張る屋根面へ変えていきます。
木下地と勾配断熱材で、水の流れを調整する

既存屋根の傾斜と勾配断熱材を組み合わせ、雨水ができるだけ排水口に向かうように調整します。ダクトを塞ぐだけで終わらず、塞いだ後に水がどこへ流れるかまで考えて下地をつくります。

一部のダクトには木下地を組み、既存屋根の傾斜を利用しながら、水の流れる向きを整えました。完成後の写真では隠れてしまう部分ですが、今回の工事の狙いが表れる工程です。

木下地に合板を張った状態です。建物の傾きなどの影響により、工事後も数センチ程度の水溜まりができる部分はあります。屋根面を連続した防水シートで覆う納まりとし、排水の流れと防水の両方を整えます。
防水シートを支える部材を取り付ける

下地にはディスク盤を先に取り付けます。これは、防水シートを固定するための部材です。シートを敷いた後に専用の加熱機で固定するため、仕上がると見えなくなります。

屋根の外周には、防水シートを押さえる鋼板を取り付けました。平面だけでなく、外周部分にも固定するための部材を設けます。

断熱材、合板、ディスク盤、外周の押さえ鋼板を施工し、防水下地が整いました。ここから屋根面に防水シートを敷いていきます。
塩ビ防水シートで屋根面を覆う

下地の上に塩ビ防水シートを敷いています。もともと溝だった部分も含め、屋根面を防水シートで覆っていきます。

広い平面から端部へ順に施工し、シート同士の接合部分も納めます。完成後の見た目だけでは分かりにくい、シートの下のつくりと合わせてご覧ください。

今回使用した防水シートは「サンタックIB HWC-15」、厚さ1.5mmの塩ビ防水シートです。
排水口と屋根のふちまで防水をつなぐ

排水口には直径100mmの塩ビドレンを使用しました。写真は取り付け前の部材です。屋根面の防水シートとの接合部分を熱で溶着し、水の出口まで防水を納めます。

外周は立ち上がりから笠木まで防水シートで覆います。笠木は屋根のふちを覆う部分です。平面だけを施工して終えるのではなく、周囲の立ち上がりとひと続きに仕上げます。

専用のIH加熱機で、シートの下に取り付けておいたディスク盤と防水シートを固定します。先ほどの固定部材が、ここで防水層を支える役割を持ちます。
排水口の仕上げと完成後の水張り

排水口にはゴミ避けを取り付け、周囲の防水を仕上げました。スノーダクトの長い溝はなくなりましたが、雨水の出口はこの排水口として残っています。


屋根面から外周の立ち上がりまで、シンプルな防水層として仕上がりました。

工事完了後には水張りを行いました。この屋根では降雨後に多少の水溜まりができますが、今回施工した防水層の性能上は問題のない納まりとしています。
工事完了|ビフォーアフター
同じ屋根の施工前後を、いくつかの方向から比較します。横並びの写真は左が施工前、右が施工後です。その下の比較画像は、中央の丸いハンドルを左右に動かしてご覧いただけます。操作をしなくても、横並びの写真で溝がなくなった変化を確認できます。
屋根全体の変化




反対側から見た屋根




長い溝があった屋根面




ダクトから排水口へ




屋根の入り組んだ部分




反対側の外周




建物内側の立ち上がり




外周から見た防水のつながり




施工後の流し撮り動画|屋根全体のつながりを見る
完成後の屋根を約1分の流し撮りでご覧ください。写真だけでは追いにくい屋根面、排水口、外周の立ち上がりのつながりを、現場の音とともに確認できます。
これからの屋根の手入れを考えている方へ
今回の工事は、スノーダクトの溝をなくし、排水口だけを残したシンプルな防水層にすることで、清掃や定期的な補修の負担を極力減らすことを目的としています。
排水口の点検や、ゴミを取り除く管理まで不要になるわけではありません。屋根に上がることが難しくなった場合は、ご自身で無理をして上がる前にご相談ください。屋根の状態と、今後どのように管理していきたいかを合わせて考えます。
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