屋根リフォームは、見えなくなる部分が大事です

乾式タイルの復旧後に完成した下屋根のシート防水 無落雪屋根
外壁を復旧すると、内部の立ち上がりと端末処理の大部分は見えなくなります。

【札幌市の屋根専門業者】株式会社マツモトルーフ代表の松本です。
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屋根リフォームのお見積もりをお出ししたとき、内訳を見たお客様から、外壁との取り合いの工事が高いと言われたことがありました。

屋根の工事なのに、なぜ外壁を外して、また戻す必要があるのか。必要な工事の内容をご説明し、ご納得いただいたうえで、ご発注いただきました。

この工事が必要なのは、屋根の防水を外壁材の裏まで立ち上げ、壁側の防水とつなぐためです。ここで防水が途切れていれば、水は裏へ回り込みます。

完成すると隠れてしまいますが、雨漏りを防ぐために省けない工程です。屋根リフォームは、見えなくなる部分が大事です。

今回は、乾式タイルの外壁を外して、下屋根の防水を納めた工事を紹介します。先ずは、壁と屋根の防水のつながりを動画と図でご覧ください。

動画で見る|屋根材を外壁の裏まで立ち上げる理由

1分16秒・横長・字幕付き・音声なし。雨水の流れ、屋根材と壁の防水紙の重ね方、実際の施工を順にご覧いただけます。

動画の要点は、「雨水は外壁表面から屋根へ」「内側へ入る水にも備える」「屋根材と壁の防水紙を正しく重ねる」の3つです。仕組みと工事の流れは、この下の図と写真でも確認できます。

下屋根の「立ち上がり」とは

下屋根とは、一般に2階の外壁などに接する1階部分の屋根です。ここでいう屋根材は、板金や防水シートのことです。屋根と壁が接する部分を「取り合い」、屋根材を壁際で折り上げた部分を「立ち上がり」と呼びます。

大切なのは、屋根材を外壁材の裏まで立ち上げ、壁側の防水紙と重ねることです。壁の防水紙が屋根材の立ち上がりの外側に重なることで、万一壁の内側へ入った水も、屋根面へ流れるように納めます。

壁側の防水紙が屋根材の立ち上がりの外側に重なる模式図。屋根材は板金・防水シートを表す
屋根材と壁の防水紙の重ね方。青が壁側の防水紙、緑が屋根材(板金・防水シート)です。図を押すと拡大できます。

動画と図は、防水のつながりを説明する模式図です。厚さ・高さ・勾配を強調し、外壁材など一部の層を省略しています。特定の製品や建物の施工詳細図ではありません。

リフォームでは、すでに外壁が仕上がっています。そのため、外壁を一旦外すか、立ち上がりを施工する範囲をカットして、内側の防水を納める必要があります。外壁を開ける作業は、この見えない部分を施工するための工程です。

立ち上げた屋根材は、上端の固定・端末処理、壁の角、通気や排水の経路まで確認します。立ち上がりの高さや材料の組み合わせは、既存の外壁構造と採用する屋根材・工法に合わせて決めます。

雨水と雪解け水は、どこを流れるのか

通常の雨水は外壁表面から、屋根の排水先へ

通常の雨水は、外壁の表面を伝い、水切りや屋根面を経て排水先へ流れます。まずは、この外側の水の流れを確保することが基本です。

無落雪屋根では、積もった雪の下を融雪水が流れます。雪や氷、排水部の詰まりなどで流れが妨げられると、壁際に水がたまる場合もあります。屋根面から壁際まで続く防水が必要なのは、このような水にも備えるためです。

外壁の内側へ雨水が入った場合にも備える

コーキングの亀裂などから、雨水が外壁の内側へ入り込む場合があります。外壁の内側を常に水が流れている、という意味ではありません。

屋根材の立ち上がりが外壁の表面で止まっていると、内側に入った水を受けられないことがあります。表から見える隙間だけをふさぐのではなく、壁側と屋根側の防水をつなぎ、水が防水の裏へ回らない納まりにします。

実際の工事|乾式タイルを外して、防水を納めます

ここからは、当社が2022年8月2日に紹介した屋根改修工事の写真です。外壁は乾式タイルで、その内側に新築時のサイディングが残る重ね張りの構成でした。写真を押すと拡大できます。

今回の工事では、表のタイルを外すだけでは屋根板金の立ち上がりに届きません。外壁を順に解体し、内側の状態を確認してから新しい防水を納めました。

1.タイルとベース板を外す

乾式タイルとベース板の一部を外し、内側の既存サイディングが現れた状態
タイルとベース板の一部を外した状態。内側には、新築時のサイディングが残っていました。

先ずは、乾式タイルを外していきます。今回のタイルは再利用できたので、壊さないように取り外しました。続いて、屋根の立ち上がりを納める高さまでベース板をカットして解体。すると、一層目のサイディングが出てきました。

このように外壁が重ね張りされている場合、表面から見える仕上げの奥にも作業が必要です。外壁の構成によって、解体する範囲や手間が変わります。

2.隠れていた下地と屋根板金を確認する

窓の下で確認した外壁受け下地木材の腐食
窓下の受け下地木材に腐食を確認。外壁を外すことで、仕上げの裏側の状態まで分かります。

窓周りには漏水跡があり、外壁を受ける下地木材も腐食していました。外側のタイルだけを見ていては、この状態は分かりません。外壁を外すことで、下地の傷みまで確認できます。

既存サイディングを外して確認した屋根板金の立ち上がりと外壁側のシート
一層目のサイディングを外し、既存の屋根板金の立ち上がりと外壁側のシートを確認しました。

新築時からのサイディングも解体して、ようやく屋根板金の立ち上がりが出てきました。ここまで開けて、新しい防水をどこへ差し込むか、既存の防水とどうつなぐかを判断します。

この工事では、外周の手摺りも一度解体し、笠木まわりの状態を確認しました。壁際だけでなく、屋根の外周も含めて施工範囲を考えています。

3.防水シートを外壁の内側へ立ち上げる

屋根面から外壁内部へ防水シートを立ち上げ、上端の取り合いを処理した状態
屋根面から続く防水シートを立ち上げた状態。上端を既存の外壁側のシートの下へ差し込み、テープで処理しています。

新しい屋根の防水シートをできる限り立ち上げ、既存の外壁側のシートの下へ差し込みました。上端はテープで取り合いを処理し、外壁を戻す前に壁際の防水を納めています。

上の図で説明した、屋根と壁の防水をつなぐ部分です。外壁を戻せば隠れてしまいますが、この状態まで防水を納めてから復旧します。

4.ベース板とタイルを復旧する

防水の立ち上がり施工後に乾式タイルを戻している途中
内側の防水を納めた後、ベース板と取り外しておいたタイルを復旧しているところです。

防水を納めた後、乾式タイルのベース板を戻し、取り外しておいたタイルを復旧しました。今回は再利用できましたが、外壁材の種類や傷み方によっては、同じように戻せない場合もあります。

5.屋根面・排水部・壁際を仕上げて完了

防水改修後の屋根面と排水ドレン、外壁との取り合い
排水ドレン周辺の完成状態。屋根面・排水部・壁際をつなげて仕上げました。
乾式タイルの復旧後に完成した下屋根のシート防水
タイルを復旧した完成全景。外壁の裏に納めた防水の立ち上がりは、完成後には見えなくなります。

以上で工事完了です。外壁も元に戻り、すっきり仕上がりました。完成写真だけを見ると簡単な工事に見えるかもしれませんが、ここまでに外壁の解体、下地の確認、防水の立ち上げ、外壁の復旧を行っています。

外壁を外したのは、屋根の防水を確実に納めるためです。見えなくなる部分をきちんと施工してから、仕上げを戻しています。

屋根工事の価格差は、こういう所に出ます

外壁を外し、下地を確認し、防水を立ち上げてから外壁を戻す。ここには手間が掛かります。完成後には隠れますが、雨漏りを防ぐために必要な工程です。

この部分の施工をケチると、いずれ雨漏りにつながります。表面の仕上がりだけを見ても、外壁の裏で防水がどうつながっているかは分かりません。

特にリフォームは、価格だけで決めると、こういう罠にはまります。外壁をどこまで外し、どこまで防水を納めて戻すのか。同じ屋根の工事でも、含まれる工程が違えば、工事の中身は違います。

表面のコーキングだけでは、内側の防水はつながりません

シーリング材やテープは、工法・部位に応じて使う大切な材料です。今回も、防水シートの上端にテープを使っています。

大切なのは、どこに、何のために使うかです。内側の防水をつなぎ、その上端を処理することと、内側を確認せず表面の隙間だけを埋めることでは、対応できる水の経路が違います。

モルタル、ALC(軽量気泡コンクリート)、乾式タイルなど、外壁によって解体や復旧の方法も異なります。屋根と外壁を別々に考えず、その建物に合う納まりを選ぶ必要があります。

屋根リフォームでは「壁際の施工範囲」も確認を

工事内容を確認するときは、屋根面の材料名や面積に加え、次の点も見てください。

  • 外壁をどの範囲まで外し、どのように復旧するか。
  • 屋根の新しい防水と、外壁側の既存防水をどうつなぐか。
  • 解体後に下地の傷みが見つかった場合、どう対応するか。
  • 完成後に隠れる立ち上がりや端末の写真を残すか。

当社は、屋根面だけでなく、外壁との取り合い、排水部、外周まで含めて施工します。見えなくなる部分を、見えなくなる前に確実に納める。屋根リフォームで大事なのは、こういう工事です。

別の施工例では、下屋根の外壁を一部解体して漏水箇所を確認しています。札幌市南区のスノーダクト屋根改修|外壁との取り合いと雨漏りの確認もご覧ください。

バルコニーの壁際を納めた例として、札幌市西区K様邸のステンレス屋根・バルコニー防水改修も紹介しています。こちらではサイディングを一旦外し、内側の止水処理と防水の立ち上げを行ってから外壁を復旧しました。手摺脚の防水と、既存手摺の脱着・復旧も掲載しています。

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