
【札幌市の屋根専門業者】株式会社マツモトルーフ代表の松本です。
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折板屋根の巨大氷柱(落氷事故)を止めるための屋根リフォーム工事
今回の工事の最大の目的は「巨大な氷柱(つらら)を無くし、落下事故を減らすこと」です。
この現場(工場)では、軒先に大きな氷柱が育ち、窓ガラスの破損、落下した氷で下屋根を凹ませて雨漏りを起こしたり、落差の影響で跳ねた氷が車両に当たる事故が度々発生していました。

そのため今回は、単なる補修ではなく、氷柱ができにくい条件を屋根側で作り直すことを優先した工事内容です。
- 軒先全周で水を出さないように水の流れ(排水の出口)を見直し
- 折板形状を活かした合板下地+通気層で屋根面の温度上昇を抑え、溶ける→流れる→凍る連鎖を弱めること
この2つを組み合わせて、氷柱の発生と落氷事故のリスクを根本から下げる狙いで施工しました。
施工前:何が起きていたか(被害)

・軒先に巨大な氷柱が形成
・落氷が下屋根に直撃して屋根がボコボコに変形 → それが原因で下屋根が雨漏り
・大屋根と一階屋根に落差があるため、落ちた氷が跳ねて車両に当たる事故が発生
なぜ氷柱が育つのか(この現場の条件)
屋根からの氷柱は、概ね次の条件が揃うと大きく育ちます。
- 室内の暖気(断熱不良など)や日射の影響で屋根面が温まる
- 屋根面で融雪水が発生し、軒先へ流れる
- 軒先は屋根が跳ね出しているので、建物の暖気を受けにくく、凍結を繰り返して氷柱が成長する
つまり氷柱対策は「水」と「熱」の両方を押さえる必要があります。
近年では寒暖の差が大きく、真冬に雨が降ることも多くなり「氷柱の問題」も深刻になっています。
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対策方針:氷柱が育つ条件を“水と熱”の両面から断つ
今回の狙いは2つです。
- 水:軒先全周で水を出さない(凍結ポイントを増やさない)
- 熱:屋根面が温まりにくい構造にする(溶け→流れ→凍りの連鎖を弱める)
対策①:水の出口を設計し直す(排水は軒先の中央付近に集約)
※ここでは先に「完成形(今回の納まり)」をご覧ください。工程の詳細写真は後半の【施工手順】で順番に解説します。
外周には、特注の水止め部材(塩ビの積層鋼板を立ち上げ加工)を取り付けて水の流れを操作しています。

また水下には同様に、雪止めと水の流れを操作する特注鋼板を取り付けています。

なぜ排水を「軒先中央付近」にしたのか
下屋根は切妻形状で両端に落差があり、端部へ排水させると落氷・落雪の当たり所が増えるためです。

下屋根からの落雪問題を確実に避けるため、水下の中央付近に垂れ流しとして排水の出口を集約しました。
屋根を防水工事(塩ビシート防水)へ更新します
今回の対策では、折板屋根の部分補修ではなく、屋根全体を防水仕様(塩ビシート防水)に更新しています。
理由は、フラットな防水層を形成する事で、氷柱が育つ原因である「水の出口(排水)」を設計し直しやすく、さらに屋根全体を防水層として一体で守れるためです。
施工の流れはシンプルで、
折板の上に下地(合板2層)を作る → 通気層を確保する → 固定ディスクを設置 → 防水シート(サンタックIB)を敷き込み・溶着
という順番です。
このあと写真で、工程順に解説します。
雨樋を付けない理由(雪国の現実)
雨樋は積雪地域では破損のリスクが高いため、今回は設けていません。壊れにくさと安全性を優先し、排水位置を設計しています。
また、お客様の要望で「電気式ヒーター」設置による定期的な交換のメンテナンスや、電気料金の面で避けたいとの事でした。
対策②:折板形状を活かした「合板2層+通気層」で熱を遮断
既存の折板屋根の上に専用金具を取り付け、その上に合板でフラットな下地を形成しました(積雪の強度を考慮して2層貼り)。

外壁(角波板金)の谷形状を利用して空気が抜ける構造に(通気層)
軒先と水下に通気層(空気の層)を作り、建物の熱が屋根面に上がりにくいように熱を遮断しています。既存外壁は角波板金で凸凹があるため、その谷の部分の形状を利用して空気が抜ける構造にしています。

空気の流れ
入口・出口は風向き次第ですが、水上の方が暖かい空気が溜まりやすいため、水下(軒先)から水上へ空気が流れるパターンが多いと考えています。
※暖かい空気は上に溜まりやすく、条件が揃うと自然対流で動きます(ただし流れ方は風向・開口条件などで変わります)。
施工手順
※前半で「なぜこの対策が必要か(仕組み)」を先に解説しました。ここからは同じ写真も含めて、実際の施工を工程順に整理して掲載します。現場で何をどう行ったかの記録としてご覧ください。

まずは既存の折板屋根の下地調整から。既存の雪止めアングル金物を撤去。

既存の折板屋根のハゼ(折板の凸部分の継手)に受け金具を等間隔で設置します。

こちらの折板用ハゼ金具は、既存の屋根に穴を開けずに固定できますので、稼働中の工場でも屋根工事中の雨や埃など、気にせずに安全に作業が可能です。

フラットな屋根下地を形成するための「構造用合板」の荷揚げ作業

「構造用合板」の規格(寸法)に合わせて、受け金具を設置しています。

構造用合板は2層貼りで、積雪荷重に耐えられる強度を確保しています。

外周端部の板金は厚物の0.8ミリを使用。事前に工場で加工済みです。

外周の板金役物は既存の折板屋根をすっぽり被せる寸法で、通気層を確保できる設計(大きさ)にしています。

外周板金役物の取り付け

外周の板金役物は、上記画像の説明のように通気確保出来る大きめの寸法で加工しています。

防水シート押さえ用の塩ビ製積鋼板の取り付け。同時に吹き込み防止のための先打ち防水コーキング処理済み。

防水下地の完了です。防水シート固定用のディスク盤は、合板下の受け金具にしっかりと固定。

【使用材料】サンタックIB製 ガラス繊維入り高耐久シート


サンタックIB防水シートの敷設

防水の外周端部にはオリジナルの水止め部材を設置

水下(軒先)から数列は、雪止め効果もあり、雨水の流れも操作可能なオリジナルで特注の「水止め鋼板」を取り付け。

先打ちしたディスク板を「IH式電磁誘導加熱機械」で熱溶着処理。
防水シートは、屋根全体に糊付けするような工法ではなく、ディスク盤と防水シートを部分的に固定する工法「機械的固定方法」で、今回のような「鉄骨造」の動きにも柔軟に追従可能で、長持ちする工法です。

防水シートの継手も溶着(溶かして接合)にて一体化。

以上で、工事完了です。

隙間の空いた屋根の中央部分に雨水が集中して流れる設計です。

その他の部位は、狙いの効果が得られるように、強制的に雨水を操作しています。
仕上げの確認作業。排水が中央に集約されているか、水を流して確認
施工後は、狙い通りに「軒先(水下)の中央付近以外へ雨水が流れない」ことを想定し、実際に水を流して雨水の流れを確認しています。

【ビフォー・アフター】
【工事完了】ビフォー・アフター ◀︎○▶︎スライダーで操作可能
【工事完了後 動画】
【同じような症状の方へ】氷柱・落氷は「屋根の形」と「水の出口」で止められるケースがあります。
札幌などの雪国で、氷柱が巨大化して落氷事故・下屋根の変形・雨漏り・車両被害まで起きているなら、まずは状況を整理しましょう。
この手のトラブルは「とりあえず雪止め」「とりあえず雨樋」では、逆に危険側へ行くことがあります(雪国では雨樋が壊れやすいのも現実です)。
下の3点が分かれば、対策の方向性はかなり絞れます。
- 屋根形状(折板/スノーダクト/切妻など)
- 氷柱ができる場所(軒先全周?一部?)
- 落ち先(下屋根/通路/車両/人の動線)
可能ならスマホで写真を数枚(軒先・下屋根・落差が分かる角度)撮っておいてください。
こちらで「断熱の問題なのか」「水の出口設計で止められるのか」「通気層が効く条件か」を判断して、無駄な工事にならない方針を先にお伝えします。
現場ごとに正解は違います。だからこそ、雪国の屋根を見慣れている専門店にご相談ください。
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